祈りにかえて

雑感雑記の文章練習・読書日記・調べもの進捗報告書/140文字以上用メモ

2018年よかった本ベスト5+α

 趣向を変えて「読んでよかったと思った本ベスト5@2018」をやりたいと思います。2018年に今日まで読んだのは57冊です。

 

 ①映画の言葉を聞く

映画の言葉を聞く 早稲田大学「マスターズ・オブ・シネマ」講義録

映画の言葉を聞く 早稲田大学「マスターズ・オブ・シネマ」講義録

  • 作者: 是枝裕和,安藤紘平,岡室美奈子,谷昌親,土田環,長谷正人,元村直樹,押井守,鈴木敏夫,古舘寛治,森達也,篠崎誠,山田キヌヲ,横浜聡子,李相日,真利子哲也,井上剛,杉野希妃,山崎貴,細田守,石井岳龍,荒木啓子,西川美和,瀬々敬久,片渕須直,柄本明,北野拓,奥田庸介,熊切和嘉,石井裕也,池松壮亮,古谷敏,世武裕子,イザベル・ユペール,井浦新,濱口竜介,瀧本幹也,土井裕泰,佐野亜裕美,橋本忍,山田洋次,大林宣彦
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2018/03/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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  早稲田大学の授業「マスターズ・オブ・シネマ」で2016年、2017年度に行われた講義+αが収録された本です。「学生たちとのディスカッションを交えながら、創作行為に対するその姿勢や作品の具体的な制作手法について(映画・テレビドラマ・アニメーションなどの映像分野を支えているゲスト・スピーカーに)伺っている」とのことで、同人創作をしている面々にも示唆するものは多いんじゃないのかな?と思いました。アニメーション映画監督の細田監督や片渕監督も収録されていますが、私が一番面白かったのはオウム信者の取材をしたドキュメンタリー映画「A」を作った森達也監督のお話でした。ドキュメンタリーやノンフィクションに弱いので……

ドキュメンタリーの演出とは何かと考えるときに、僕は化学の実験を考えます。フラスコのなかに被写体を入れて、下から火で熱してみたり、ゆすってみたり、場合によっては撮影する側がフラスコのなかにいっしょに入って、刺激しあったり誘導しあったりするというのがドキュメンタリーの演出です。

 

 ②傍観者からの手紙

傍観者からの手紙―FROM LONDON 2003‐2005

傍観者からの手紙―FROM LONDON 2003‐2005

 

  2003年イラク戦争前夜に、朝日新聞ヨーロッパ総局長としてロンドンに勤務していた筆者からの手紙を収録しています。随所随所にリベラル思考がにじみ出ているのですが、それを感じたうえで面白かったのが下記の「無抵抗主義」に対しての見解でした。

 

当時旧ソ連が占領していたアフガニスタンでの取材を終え、パキスタンのベジャワールに移って反政府イスラムゲリラ「ムジャヒディン」の指導者に取材しました。素手で敵を暗殺する術を若者に教える指導者は、なぜゲリラ活動を続けるのかという私の問いに、堰を切る感情の激しさで反問しました。「お前はどうだ。妻を殺され、娘を強姦されて、反撃しないか」。その語調に気圧されて一瞬沈黙した私は、咄嗟にこう答えました。「いや、私は仏教徒であり、攻撃を受けても力での抵抗はしない。責任は問うが、自分で相手を殺すことはないだろう」。イスラムに対して抗するには、俄仕立ての仏教徒になるしかないというのが、その時の私でした。

 その後一九九四年にエルサレムで会ったユダヤ人哲学者が、同じ問題に別の視覚から光をあててくれました。ホロコースト生存者に取材していた私は彼に、「ユダヤ人はいつになれば、ドイツ人が過去に犯した罪を赦すことができるのか」と問いかけました。彼は直ちに「それは出来ない。赦すことができるのは、ただ神のみなのだから」と答えました。神のみが復讐を許される、つまり「復讐するは我にあり」という新約聖書の言葉にも繋がる考えでしょう。哲学者は、「ユダヤ教に復讐という考えはない。しかし正義は実現すべきだ。時効を越えてホロコーストの犯罪者を追求するのは正義のためだ」といいました。

 復讐は許されないとしても、自衛は許されるのではないか。ホロコーストの被害者の中には、武力でナチスに抵抗しなかったことを悔やむ声が大きいとも聞きます。

(略)

 私は、いかなる時にも暴力の行使を否認する絶対的な平和主義から、大きく逸脱するようになりました。二十年近く前、私は俄仏教徒になって非暴力を唱えましたが、今ではムジャヒディンの質問にこう答えるでしょう。「愛する人を襲おうとする者には全力で立ち向かう。しかしすでに攻撃が加えられ、取り返しがつかなくなった場合、自分なりの流儀で、自らを含む責任を問うでしょう」と。

 

 何より文章が端麗すぎるのでぜひ読んでほしい。

 

 ③戦争の法

戦争の法 (伽鹿舎QUINOAZ)

戦争の法 (伽鹿舎QUINOAZ)

 

  ソ連の後援のもと日本のN県が独立してしまい…云々です。あらすじは説明しづらい。ハードボイルドでした。

 主人公はゲリラの少年、相棒の友人が狙撃手の美少年です。とにかく面白かった。あと製本にとてもこだわりを感じました。雰囲気にあっている。

  アドレナリンがドバドバ出ますね。

 

 ④約束された場所で

約束された場所で―underground 2 (文春文庫)

約束された場所で―underground 2 (文春文庫)

 

  オウム真理教の元信者へ行ったインタビュー集。

 印象に残ったのは「ノストラダムスの大予言」に二人の人が言及していたことです。90年代って終末感というか破滅願望すごかったのね。

たとえば僕なんか、ノストラダムスの大予言にあわせて人生のスケジュールを組んでいます。僕には自殺願望があるんです。僕は死にたいんです。今すぐ死んでしまいたい。でもあと二年で終末が来るんだから、それまではなんとか我慢しよう、そう思っています。

 

 嘘でした!ごめんね☆彡

 この信者さん大丈夫だったのかな…不安だ もう18年近くも前なんですけれど…

 

 ⑤メタモルフォーゼの縁側

 

メタモルフォーゼの縁側(1) (単行本コミックス)

メタモルフォーゼの縁側(1) (単行本コミックス)

 

  おばあちゃんの「あらー」の可愛さと「死ぬまでにあと数巻しか続きが読めない!!」のリアリティが良かったです。

 絵がすっきりあっさりで素敵だと思う。

***

読了しました。

自傷・自殺する子どもたち (子どものこころの発達を知るシリーズ)

自傷・自殺する子どもたち (子どものこころの発達を知るシリーズ)

 

  このシリーズ、なかなか続きが発行されてないみたいで大丈夫か?となっています。

 良書です。精神医学にドはまりしてた時に買いました。