祈りにかえて

雑感雑記の文章練習・読書日記・調べもの進捗報告書/140文字以上用メモ

ヴォラ中という言葉を最近知ったが今年の夏には流行らなそう

 映画「この世界の片隅に」はitunesで買っていました。映画館で観たままで終わり、iTunesのはしっかり観てなかったんですけど、結構名作じゃないですか……。

 漫画のキレキレ感と表現描写力にやられて映画を世間ほどやんやしてなかったんですけど、うん、これ名作だ……12月が待ち遠しいですね。

 

 こうのさんの漫画の自由度を愛しています。まるまるカルタ回とかすごくないですか!?これをWJでやったら怒られそう、というか一気に読者投票の数が落ちそうです。

われわれは表現者である以上、なにがどこまで表現のための武器なのか、使える手立てなのかということはつねに考えているべきだというのが僕のスタンスです。こうの史代さんもそうした意識の強い方だと思いますね。こうのさんはたとえば「こうの」というハンコを使うだけで絵を描いてたりします。『この世界の片隅に』の原作マンガは本当に様々な手法が使われていて、たとえば映画のエンドロールのところにすずさんが口紅で描いているシーンがありますが、あれに相当する原作の場面では本当に口紅を使って原稿を書かれたそうです。われわれは何かを表現しようと思っている以上、自動的に歯止めをかけてしまうのが一番つまらないと思う。こんなこともできる、あんなこともできる、という発想を有するほうが豊かだと、あくまで個人的には思います。

(『映画の言葉を聞く』)

 (ハンコ漫画は『平凡倶楽部』収録)

 

 映画を観ながら例の「減点評価方式の戦争もの」について考えていましたが、たしかに「あの時代の人たちがどう生きたか」を書きたいのに、やれ加害性だとか何が描かれていないとか言われたら嫌だなあとなりますね。もし私が100年後の漫画家だとして、平成最後の夏のとある男女の恋物語を描きたいのに、東京医大1で減点加点、オリンピックボランティア1で減点加点だったら確かに嫌だ。医大もボランティアも関係なく男女は恋愛して生を謳歌するんだし…。

 いやオリンピックボランティアをめぐっての男女の恋愛……オリンピックボランティアに行きたい男と猿島でバカンスしたい女の攻防の物語でもいいのだけど、それは筆者の取捨選択の自由であって、文句をつけるところではないんだ。

 

 

 原作『この世界の片隅に』は映画公開の数年前から持ってたんですけど、一時期著しく本が読めない時があり、ちょうどそこの時期に買ってしまったので映画公開まで読みませんでした。みっちり絵が描かれてるので読みにくい印象を受けていた。絵柄が独特なのもあります。タイトルに惹かれて買ったのを覚えています。

 

 ちなみに上巻も下巻も最近見当たりません。どっかに紛れてしまいました。かなしい。

 

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 「美学」といえば、「風立ちぬ」の”美しいものを追い求める”という概念が結構好きです。

 二郎がサバの骨を美しい、飛行機を美しい、菜緒子を美しいというんですけど、二郎は本質的に美しいものが好きなだけで他を見ていない感じがある。おきぬさん(使用人の女性)が学校に計算尺を返しに来てくれた時、後姿の幻影を見たのは幼い菜緒子ではなく妙齢のおきぬさんであって明らかに菜緒子がアウト・オブ・眼中ですし、初めてのテスト飛行の時には、危うく死ぬところだったパイロットを気にする黒川に対し、二朗は「深い感銘を受けました」とこれもアウト・オブ・眼中です。

 

(計算尺…そなたはうつくしい……)

 

 『ユリイカ』では「二郎が美しいものを追い求めることにより多くの”犠牲”が出る」とも指摘されていて、最終的には国を亡ぼすに至るんですけど、結局ワインを飲みながらその話すら肴にするんですよね。そういうの、好き。「美しい」が重要ワードだと思うんですよね。ただ美学的にはすでに「美しいもの」自体そのままを語るのは時代錯誤らしいです。

 

ピラミッドのある世界では、貧しい人たちから金を巻き上げて、頂点にいる人間が夢をかなえます。それは弱肉強食ではなく、もっとたちが悪い。弱肉強食の世界では弱者を食い殺して強者が生き残るのですが、ピラミッドのある世界では貧しい人間は、上にいる人間にどんどんお金を吸い上げられていきます。貧富の差があったり、差別があったりする世界です。

(『『風立ちぬ』を語る』)

 だから、菜穂子との恋も綺麗で、ゆえに残酷です。二郎が菜穂子を好きな理由はただひとつ、「綺麗だから」です。

 あらゆる人の営みは、犠牲の上に成立しています。だからこそ、せめて綺麗なものを見せたい。それが、『風立ちぬ』のラストシーンで宮崎駿が伝えようとしていることではないでしょうか。

(同)

宮崎駿監督も、文化・文明は犠牲になる人がいるから成立すると言っています。

(同)

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 できました!7700文字です。決して多い量ではないですが、いかんせん漢字が多かった。今までで一番漢字変換に苦労しました。挫けそうだった。ところでこのノート、デジタルで作られてr…

 

 『ソヴィエト・ファンタスチカの歴史』を買ったまま積んでいます。これはいろいろネットを見ている限り、月をめぐるフィクションのお話みたいです。でもフィクションなんだけど、緻密な正しい歴史にところどころフィクションを挟んでいる形式。たとえば帯の煽りを見ると、「スターリンは「月を制するものが全世界を制する」という言葉を愛していた」と本書には書かれているみたいなんですけど、これはフィクションであって事実ではありません。だけどペラペラ見る限り緻密に歴史(ノンフィクション)に絡めているみたいです。

 誰かコレ帝国海軍でもやってくれない?と思ったのですが、いやいや擬人化だってある意味ノンフィクション歴史に擬人化というフィクションを挟んでいるんだろ……という。本書は本国ロシアで学者やメディアが「事実」として引用すらしたくらいフィクションノンフィクションが曖昧になっている完成度の高い本、みたいなので、擬人化もそのレベルを目指すべきなんだろうな~と思います。

 ……上記の『ソヴィエト・ファンタスチカの歴史』の説明、半分は推測なので読んだ人教えてね……。