祈りにかえて

雑感雑記の文章練習・読書日記・調べもの進捗報告書/140文字以上用メモ

「あれはなんだっけな、レフトハンドの時代だっけな」

ところでお客さんがほとんどいない時間帯におられた一人の方がその方はだいたいパソコンで何かをされていたのだけれど本を開いている時間があってのちにその本が横に置かれてそれが僕は自分の席から何かの折りに目に入って表紙がなんとなく見覚えのあるものであああれはなんだっけな、レフトハンドの時代だっけな、なんだっけな、赤い、赤が、赤が印象的な表紙、というそれはだから『セカンドハンドの時代』で、分厚い、岩波から出ている分厚いそれで、あれ読んでみたい気が起きたことがあったけれどなんらかの理由でスルーされたんだよな、と思い出していた、その方はもう帰られたあと、九時ぐらいになってラストランの方がオーダーされて定食を持っていったときだと思うのだけど、机に置かれた本をふと見たというか見るつもりがなく目に入ったのが『セカンドハンドの時代』で、なんというかそれにはとてもびっくりしたというかほとんど鳥肌が立ったというかすごいと思って、だからそれで、けっきょく一一時前に帰られた

(『読書の日記』)

  私も読んでて鳥肌立ちましたレフトhじゃなかった『セカンドハンドの時代』が出てくるなんて!

 『セカンドハンドの時代』が2016年の9月に発売、この日記は2017年6月24日の日記でした。

 『読書の日記』には出てくる書名の索引があるんですが正確には出てくる”読んだ”書名なので、筆者の読んでいない『セカンドハンドの時代』は索引に無いのです。読む前索引で知ってる書名をいろいろ探してみていたので、いきなり『セカンドハンドの時代』が出てきてびっくりしました。

 

 

 

 ********************

ぼくの小さな神さま

 

第2部 A Loneliness That Resembles Hapiness

 

1

 

 海上自衛隊は、米海軍軍人の手によってつくられた。このことを多くの日本人は知らない。

 この半分事実の冗談を揚々と披露しても、大抵の日本人は意味が分からずキョトンとしたままだ。というか、多くの日本人は、海上自衛隊や海上自衛隊員のことは新しく出来たよくわからない人種だと思っている。なんか日本海軍っぽい、よくわからない後裔集団だと思っているのだ。だが、セーラー服にポパイ帽姿の保安庁警備隊の隊員を、朝鮮人か中国人の水兵だと勘違いする日本人すらいた頃に比べれば、海上自衛隊員とそれ以外の区別がつくだけ有難いんだろう。ミンゴ――じゃなかった、くろしおは思った。

 

 くろしおが半ば海上自衛隊創設に携わったアメリカ人、アーレイ・バークと相見えたのはただ一度、日本が神武以来の好景気に沸く1957年の夏、東京においてだった。「31ノットバーク」って結局どこからのどういう由来だったっけか、とくろしおは頭の中でくり返しながら、帝国ホテルのレストランで彼と話をしたのだが、くろしおは結局、なぜこの男が日本を評価する親日家となったのかを聞き損ねてしまった。くろしおとしては、この日本という国を好きになるための ・・・ 秘訣のひとつやふたつを聞き、参考にしたかったのだが。非常に残念だった。

 彼はくろしおに、いろいろな戦時中の思い出や、潜水艦としての戦果(潜水艦ミンゴの個人的な武勲としては、喧嘩で乗組員に小魚を生で飲み込んでみろと煽られ実行し、相手を黙らせたことだった)、あるいは日本においての 対潜水艦訓練目標 ターゲット・サービス としての苦労話や、ちょっと面白いと思う日本語の単語部門(くろしおは、ユーモラスなおしゃべりを指す「おちゃっぴー」かなぁ発音的にと答えた)などを一通り聞いた。ホワイトアスパラガスのマリネの前菜に、フランスオニオンスープ、赤ワインソースの鹿肉のメダイヨンに、デザートとして洋梨のベルエレーヌを一緒に食し、別れる際にメインロビーの大谷石の壁泉の前でその同胞と固く握手をした。これからのお互いの人生あるいは艦生に健闘を祈り合った後、別れの言葉を最後に彼はこちらを見つめて押し黙ったあと、ふと思い立ったように言った。君はいつか、この国を深く愛するようになるだろう、海よりもなお深く、深くね。

 ぼくには、そうは思えない。くろしおは目線をそらし彼にぽつりともらしたが、彼はただ父親のような慈愛の目でこちらを見つめるだけだった。くろしおが今も強く覚えているのは、目をそらした先にあった彫刻された大谷石と、透しテラコッタによって様々に装飾された帝国ホテルの内装の美しさだけだ。

 

 

 ***********************

 

 

 

海上自衛隊は旧海軍軍人たちの手によってつくられた。このことを多くの日本人は知らない。

(『凌ぐ波濤』)

 

凌ぐ波濤 海上自衛隊をつくった男たち

凌ぐ波濤 海上自衛隊をつくった男たち

 

 

 「A Loneliness That Resembles Hapiness」じゃなくて「いまはみえない星」に変更しようか悩んでいる……たぶん天文博物館五島プラネタリウムに行く章なので。

 「A Loneliness That Resembles Hapiness(孤独、それは幸福にとても似ている)」は『セカンドハンドの時代』の小タイトルの一つの英訳です。

 

 「歴史というある意味の公式に、擬人化というオリキャラを足し、その上でそのオリキャラに歴史人物がかしずいている・畏まっているとすっっっっっっげ~メアリー・スーなんだよなぁ…」という趣旨を、とあるnot擬人化フォロワーさんが昔に仰っていました。私も自分のなかでそこまで明確な言葉になっていなかったものの、「こういう描写ってメアリー・スーっぽい」という言葉は私も抱いていた感想であって、これはあまりよろしくない。よろしくないんだよ…私……聞いているか…

 擬人化は歴史人物(歴史人物というのはモブい方たちも指している)を出す時が、一番の細心の注意を払う時な気がしました。私はすぐ出すので気を付けて扱いたい。

 

 あとは「人ならざるものの苦悩」もアリなんですけど、そこに人間に対するマウントが出ると微妙っちゃ微妙なんですよね…。

 

 追記・※私の創作の話です。

 

  (人間は自由で擬人化は自由じゃない…ヨヨヨ…… ってことはそもそもない)

 

押井(略)彼には、いわゆる”モンスターの哀しみ”がにじみまくっている。伊藤(和典)くんがよく言っていた「人ならざる者に生れた哀しみ」だよね。

――ベム、ベラ、ベロですか?『妖怪人間ベム』は主題歌にも「早く人間になりたい」という歌詞がありますから。

押井 そうです。伊藤くんやしんちゃん(樋口真嗣)の場合は東宝特撮の『サンダ対ガイラ』ですけど。「なぜ私を作った?」という話ですよ。人外ものの本質というのは基本的に哀しい。

(『シネマの神は細部に宿る』)

 

 でもIQが下がってるとそういう「人ならざる者に生れた哀しみ」話も読みたくなります。

 

 ①昨日の絵は完成しました。というかさせた。

 ②拍手コメありがとうございました。イラストに対するコメントはイラスト用のブログ(tumblrにリンクあり)で返しているんですけど、ここのブログは返信はしないと思います。Twitterでなんか言ってると思う!