祈りにかえて

雑感雑記の文章練習・読書日記・調べもの進捗報告書/140文字以上用メモ

『アーダ〔新訳版〕』『「戦争経験」の戦後史』

 やっぱり『アーダ』は面白いなと思いながら読み返していました。私はアーダより妹リュセットが好きです。仲間がいない、という発言から陰鬱さがどこかにあるのかな…孤独美人……幼少期には鼻くそほじってたけど……。

 

 この小説、1969年に書かれているんですね。そうとは思えない。

 私のよく話している『アーダ』は若島さんの新訳で、旧訳は77年に出ています。おやしおが解体された年か~(潜水艦基準)

アーダ (1977年)  上下

アーダ (1977年)  上下

 

  新訳が出るまで高騰していたらしい。私は新訳にまったく文句はないので、旧訳にそこまで関心はなかったんですけれど、ちょっと気になってきました。ただ77年な~40年前の日本語訳…

 

「約束するよ。だめ、だめ、だめ」リュセットが思慮分別のない愛に我を忘れ、腹部をヴァンの腹部に押しつけそうになったとき、彼はロシア語訛りで続けた。「 絶対にだめ ニカークス・ニェート 。唇も、人中も、鼻尖も、虚ろな目もだめ。女狐ちゃんの腋の下だけ、ただし――」(記憶が曖昧なふりをしてのけぞりながら)――「そこ、 剃って ・・・ ないの?」
「剃ったら余計に臭うから」と単純なリュセットは打ち明けて、おとなしく片方の肩を露出した。
「手を上げろ!天国を指して!テラ!金星!」とヴァンは命令して、同期した動悸数回のあいだに、熱くて、湿って、危険な窪みにあわただしく口を押し当てた。

  かわいそうなLに プアー・エル

 あなたがすぐに去ってしまったのは残念でした。わたしたちのエスメラルダにして人魚姫を卑猥な悪ふざけに巻き込んでしまったことはもっと残念です。もうあなた、愛しい火の鳥と、一緒にあの手の遊びをすることは二度とありませんから。メンゴ[ごめんなさい]。

(略)

 あの破廉恥な、ただ根本的には無邪気な場面を、私たちは申し訳なく思っています。今はちょうど感情的なストレスから回復することが必要な時期です。この手紙は破ってきれいさっぱり忘れてください。

 愛情をこめて A&V
 (アルファベット順)

 

「これって、わたしに言わせれば、もったいぶった、ピューリタン的な駄文よ」とヴァンの手紙を一瞥してアーダが言った。「あの子が甘美な 痙攣 スパーズマチカ を経験したのに、どうしてわたしたちがメンゴしなきゃならないの?」

(『アーダ 〔新訳版〕』)

旧訳は「メンゴ」してるんだろうか… 多分してない。

 妹をからかいすぎて妹が自殺する、という言ってしまえばそういう話でもあるんですけど…後者は謝罪形式のからかいの手紙です。訳者が指摘しているように、アーダとヴァン、人格的にいえばダメな人間だとは私も思います。でも面白いんですよね~ウンウン。

 

20181011 追記・

 

「戦争経験」の戦後史――語られた体験/証言/記憶 (シリーズ 戦争の経験を問う)

「戦争経験」の戦後史――語られた体験/証言/記憶 (シリーズ 戦争の経験を問う)

 

  読了しました。書籍名の羅列が多い印象を受けた。どちらかというと私は「ひとびとの精神史」シリーズみたいなのが好きですね。